鳥はピーチク鳴かない

ちょっと前回の話から外れて(いるような、いないような)……

娘が、四つ葉のクローバーを見つける天才だという話は
以前書いた。

四つ葉のクローバー

ただ、登校するときに元気を無くし、下を向いてしまって
「四つ葉のクロバーが光っているのが、娘には見えていない。」
と書いたけれど、実はそうでもなかったらしい。
娘に聞くと

「摘んだらかわいそうでしょ」

ということで、ちゃんと四つ葉は見えているそうだ(失礼しました)。

代わりにこの一年、彼女が見つけつづけたのが、野鳥だった。

夏の早朝に、ふたりで日の出を見に散歩するようになり、
そのときに私が仕事で買ったのに使っていないカメラをぶら下げて(結構いいヤツ)
気持ちがよさそうに飛んでいる鳥たちを写真に収めるようになった。

わが家は東京都内とはいえかなり郊外にあり
近隣には自然公園がたくさんある。
そこには野鳥が実にたくさんやってくるし、
公園にいかなくても、生活圏に実に多くの野鳥が暮らしているのだ。

私自身は、小鳥が「チュンチュン、ぴーちく鳴いておるなぁ」と思っていただけだったが、
娘はあっという間に、
さっと飛んでいく鳥の名前を見事に言い当てるし、鳴き声を聞き分けるようになった。

スズメ(これはチュンチュンであっている)、シジュウカラはもちろん、
ムクドリ、ヒヨドリ、ウグイス、ツグミ、メジロ、ツバメ、ジョウビタキ、エナガ
ホオジロ、イカルチドリ、セッカ、ホオジロ、ハラジロ、セグロセキレイ、
カワセミ、キセキレイ、カワラヒワ、タヒバリ、キジ、コジュケイ、モズ、バン……
永遠に続くが、このあたりはもう本当にぴゅっと見かけるだけで言い当ててぱしゃりとシャッターを押すのだ。

す、すごい……。

鳥の鳴き声には「さえずり」と「地鳴き」があって
繁殖期以外は地鳴きを出すとか(知ってましたか?)。
地鳴きはだいたい、ジッジッとかジュルっとかそういう音なので

本当にどうやって聞き分けているのだかわからない。

まあとにかく、この人に見えている(聞こえている)世界の密度は

私のものとは大きく違うということだけわかる。尊敬しかない。

私自身はHSPだと最初から書いているが、
娘の自然や生き物への共鳴性の高さは、私が一生をかけてもたどり着けない場所にある。

この1年、学校や人間関係で、どんなにもまれてつかれても
娘は休みになると山に河原に出かけていった。

昨年末は念願の北海道まで繰り出して雪の中、早朝から憧れの野鳥を待った。

鳥好きの高齢者さんたちを見つけると、走っていって
「なにが見えますか?」と尋ねる。
「あそこに見えるのはオオタカですね」などと話しかける。

鳥を介せば、人見知りもなくなるらしい。

人より鳥が多い場所にいくと、娘はすーっと大きくなるように見える。
きらきらと目を光らせて、空を見上げる。

その生命力がとってもとっても美しいと、私は思う。